柴犬 トイレ 場所

居間の隅で、柴犬がオシッコをしたとする。その現場を押さえて、腹を立てたパートナーが瞬間的に柴犬を叩くとします。すると、柴犬ほどう考えるでしょうか。

一瞬の罰なので、たしかに、柴犬は自分の行動が怒りを招いたとは理解できます。ただし、居間でオシッコをしたから怒られたのだとは思わないのです。柴犬に植えつけられるのは、単なる恐怖心のみです。パートナーや体罰が、怖いということだけです。

だから、柴犬はこう判断します。「パートナーと一緒にいるときは、オシッコをしたらいけないのだ、罰を受けたのだから」。それでパートナーの姿の見えない部屋で、排尿するようになります。

その別の部屋のオシッコのあとを発見して、人がまたガミガミいう。「こっちがいないときにするとは、おまえも悪賢くなったな」。こう思うのは、誤りです。柴犬は巧妙に振る舞ったつもりは、まったくないのです。柴犬自身はどうしたらいいのか、わけがわからないのです。

犬を叱るのは、行為の最中か遅くとも数秒後のみに効果があることを思い出してください。時間がたってから注意しても、犬は排泄行為と罰を結びつけられないのです。その結果、室内での粗相はえんえんと続くことになります。新聞紙を使った条忤づけのトレーニングのほうが、体罰や叱責よりもずっと有効です。

柴犬にしてみれば「なんでご主人は怒っているんだろう？」です。部屋を汚してしまっても、時間が経ってしまってからのことはとうの昔に忘れてしまっています。粗相をした直後に叱らないかぎり柴犬には効果はありません。効果がないのに怒っても無駄な力を使うだけに終わります。

家の中でトイレートレーニングを受けている柴犬も、散歩時に排尿したりすることがあります。この場合、翌日に室内のトイレ用具で用を足せば、問題はありません。しかし、外でしか排泄しなくなる柴犬もいます。

人間だって、許されることなら、外ですませたほうが解放感を味わえそうですよね。

柴犬には、人工的な室内の一か所にある「外（トイレ）」より、散歩中に排泄したいという欲求があるのです。そこでパートナーが排便を許してしまったら、たいていの犬は室内では排泄しなくなります。当初は家の中でしつけていても、その後、外ですませることができるようになれば、柴犬はより快適な外でのトイレを選びます。だから、散歩に連れ出してもらえない雨の日でも、じっと尿意をこらえるのです。本当に、柴犬は我慢強いです。お利口すぎるとさえ、思えます。自分の住み処は、決して汚さないのです。

じつは、私の愛犬もそうで、家に来るまでに外での排泄をしつけられていました。大も小も、決して室内でしようとはしませんでした。そこで、ベランダにトイレ用具を置いてみました。ベランダとはいえ、外気にふれれば、排泄するのではないかと期待したのですが、うまくいかなかっ
たのです。ある程度、おとなの柴犬になると、条件づけを消し去るのに時間は相当かかります。今では、一日三回、散歩に連れ出し、排泄させています。

外でトイレをしつけたら、その後、室内ではオシッコをしたがらない、と覚悟したほうがいいでしょう。庭のある人なら、庭の一か所にトイレを設置すれば、犬は満足して用を足すようになります。

外でトイレをしたい柴犬はパートナーの帰りを必死で待っています。外でしか排泄できない柴犬にとって、散歩に連れていってもらうことの重要度はかなり大きいのです。